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26 文末にあって念押し・強調・詠嘆などの意を表す
終助詞「の」

 文末や文節末にあって念押し・強調・詠嘆などの意を表したり語調を整えたりする「の」(「のー」とも言う)は、昭和の終戦頃までに生まれた男性や明治生まれの女性がよく使う山口弁です。「〜よ」「〜ね」「〜な」ぐらいの意味で用いられます。しばしば「い」(文末にあって念押し・強調の意を表したり語調を整えたりする終助詞)と、「で」(文末にあって念押し・断定・勧誘の意を表す終助詞)、及び「にー」(文末にあって感情を添えたり強調したりする意を表す終助詞)の後に付きます。
  現在標準語として使われている終助詞「の」の語意・用法には、@語調や断定の気持ちをやわらげる表現に用いて「私はそう思いますの」「ええ、それでいいの」と言ったり、A疑問・問いの意を表し「いつ、ここに来るの」「どうしたの」と言ったりする二通 りがありますが、山口弁の「の」はこれらとは別のものです。
  山口弁の「の」を用いた表現は次のようなものです。「そのうち来るいの(そのうちに来るよ)」「そねーなこたー、知らんでの(そんなことは、知らないよ)」「はー、そーでありますのー(はい、そうでございますね)」「はよー行こーいの(早く行こうよ)」「おー、それいのー(ああ、そうだなあ)」「起きちょるかの(起きてるかな)」「こねーなこたー、ありませんにーの(こんなことは、ありませんよ)」「ありゃーのー、こねーなっちょるのいや(あれはなあ、こうなっているんだよ)」
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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