父：教一が語る「マーガリンの歴史」 パンにバターじゃなくてマーガリンかい。家計が苦しいからじゃなくってカロリーを気にしてるからってお母さんが言っているけど・・・・・。 マーガリンがいつできたかははっきりしているよ。時は１８６９年、フランスのナポレオン３世（あの有名なナポレオン１世の甥です）が出したバターの代用品についての懸賞募集に、フランス人のメージュ・ムーリエが製法を応募したのが始まりなんだ。それは食用油脂に発酵乳と食塩などを加えて乳化し練り合わせたものだったんだ。乳化させると色が真珠のように見えるのでギリシャ語のｍａｒｇａｒｉｔｅｓ（真珠）にちなんでこう呼ばれるようになったそうだよ。日本では、１９０８（明治４１）年に人造バターとして製造されたのが最初のようだね。はじめは風味、堅さなどでバターにはかなわなかったけど、現在では品質も改良されソフトで低カロリーそして安価な食材として広く利用されているよね。 メージュ・ムーリエ 妹：修子のひとこと ふ〜ん１８６９年にフランスで生まれたの。それに真珠って意味なのか。きれいなネーミングね。日本はちょうど明治維新のころね。文明開化といって西洋の新しい学問やものがわが国に入ってきた時期なのね。教科書を見ると、この１８６９（明治２）年にパンが日本でも作られはじめたと書いてあったわ。パンとマーガリンは仲良しの関係ね。 ボク：研一のひとこと １８６９年といったら東京が新政府の首都となり、全国の土地と人民が藩から政府に返される版籍奉還（はんせきほうかん）が行われたころだね。この後、政府は廃藩置県（はいはんちけん）、学制の公布、徴兵令、地租改正（ちそかいせい）など様々な改革を行っていくことになるんだよ。 母：育代のひとこと みんなよく知っているわね。じゃあ私はこのころのフランスの様子を説明しようかな。ナポレオン３世って名前が出ていたけど、彼は１８４８年の二月革命の後、大統領に当選した後、国民の支持をもとに１８５２年に皇帝になった人物よ。フランスで皇帝になったのはおじさんのナポレオン１世が最初（第一帝政）なのでおじさんの後ということで２世ではなく３世と名乗ったのよ（第二帝政）。でも、１８７０年、隣国のプロイセンとの戦争（普仏戦争）に敗れて退位したのよ。その後、プロイセンはフランスのヴェルサイユ宮殿でドイツ帝国の成立を宣言し、一方フランスは、第三共和政として再出発することになるのよ。